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奉仕の拡大 -社会奉仕-

 ロータリーがその初期のクラブ活動の中から漠然とした対社会的奉仕概念をつかんだのが1906年のことで、1907年に改正されたシカゴクラブの定款に「シカゴクラブの利益の振興を図り、会員間に市民としての誇りと忠誠の精神を培う」の一項が加えられたことによっても分かります。

 1907年シカゴクラブはシカゴ市に公衆便所設置運動を起こします。しかしながら、これよりも前に何か社会のためになることをしようとする会員がいました。その中の一人がクラーク・ホーレイです。彼の職業は医師ですが、彼の住む町に一人の半農の牧師がいることを知っていました。その牧師は貧しさと闘いながら伝道をおこなっていました。伝道の時に往復乗っていた馬が、ある日突然死んでしまいました。そのため彼は、土地を耕すことも、伝道を続けることもできなくなり、途方に暮れていました。この話を耳にしたホーレイはクラブ例会で発言を求め、その牧師に馬を買ってやることがいかに社会のためになるか、を熱心にみんなが賛同するまで説き、出席していた会員が直ちに金を出しあって馬を買ってやりました。

 また、1908年には、あるシカゴクラブのロータリアンが例会に出席しようと道を歩いていたら、一人の足の不自由な少年が新聞を売っているのに出会いました。その日は大変寒い日で、その少年は薄着でブルブル震えていました。このロータリアンは新聞を買ってやろうと思いポケットに手を突っ込みましたが、あいにく10ドル紙幣しか持ち合わせがなかったので、その少年を連れて例会場に行き、他の会員に少年のありさまを見せ、友人から小銭を借りて新聞代を払い、自分の着ていた毛のセーターを脱いで少年に着せてやったところ、他の会員が少年の手に金を握らせ、ある者は帽子を、ある者は手袋を持たせてやりました。少年は幸せそうに例会場を出ていったのですが、この間、誰もほとんど一言もしゃべらずにこの行為がおこなわれました。

 このようにして、シカゴクラブは社会福祉一般についての奉仕活動を企画する最初の常設委員会として、1910年「公共問題担当委員会」Civic Committeを設置しました。この委員会はロータリー最古の委員会として今日も存在しており、多くの社会奉仕の企画実践した業績を持っています。

 シカゴクラブは、このほかに特殊専門的社会奉仕活動が必要な場合には別の独立した常設委員会を設置しました。そして社会奉仕の分野では二つの重要な委員会ができました。一つは、少年活動担当委員会Boys Work Committeで、1912年のことでした。これは、青少年が未来社会をになっているという展望に立って、青少年の諸々の活動を援助するものです。

 今一つの委員会は、1925年に設置された身体障害児問題担当委員会Crippled Children's Committeです。身体障害児問題は、その後長い年月、ロータリアンを二分する論争を巻き起こすのです。

 身体障害児に対する救済は1912年、ニューヨーク州のシラキューズクラブで始められ、次いでオハイオ州のトレードクラブが行動を起こします。この活動の中から、オハイオ州エリリアクラブのエドガー・アレンがロータリアンとしての生活の全てを身体障害児対策に捧げ、この問題を全米的に拡大し、国際身体障害児協会を設立します。そもそも彼は、ロータリークラブ入会の条件として、身体障害児対策事業をクラブが積極的にバックアップすることを申し出ておりました。

 1913年から1923年頃までの間、全米の多くのクラブが障害児対策に熱中し、他の奉仕活動はそっちのけで、「社会奉仕=障害児対策」と競い合い、さながら福祉団体か慈善団体の様相を呈し始めました。

 ロータリー運動の目的が「親睦」と「事業上の利益」から「奉仕」に転換された際、シカゴクラブで引き起こされた論争の副産物としてロータリークラブ連合会が生まれました。今度は、その対社会的な奉仕のあり方をめぐって、理論派と実践派との間で再び激烈な論争が起こりました。

 ロータリー運動を「奉仕の心の形成」として捉えた理論派は、ロータリークラブの使命は、ロータリアンに「奉仕の心」を形成させることであり、ロータリアン個人個人が、He profits most who serves best とService above selfの心を持って、自分の職場や地域社会の人々の幸せを考えながら、職業人としての生活を歩むことであると考えました。すなわち、クラブ例会で会得した高いモラルに基づく「奉仕の心」で事業をおこない、その考えを業界全体に広げていくことが、全ての人々に幸せをもたらし、それが地域社会の人々への奉仕につながることを確信したのです。もし、職業奉仕以外の分野で、奉仕に関する社会的ニーズがあれば、それぞれの会員が個人の奉仕活動として実施するか、自分が属している職域や地域社会の団体活動として実施すればよいのであって、ロータリークラブが実施母体になるのではなく、そのニーズを世に訴え、それに対処する運動が盛り上がるような触媒として機能すべきであり、どうしても地域社会に何かしたいのならば、職業上得られたprofitsから個人的におこなったらよいとする考え方です。

 これに対して、「奉仕活動」に重きをおく実践派は、現実に身体障害者や貧困などの深刻な社会問題が山積し、これまでにロータリークラブが実施した社会奉仕活動が実効をあげていることを根拠に、理論派とことごとく対立しました。実践派から見れば、奉仕の機会を見いだして、それを実践することこそロータリー運動の真髄であり、単に、奉仕の心を説き、奉仕の提唱に止まる理論派の態度は、責任回避としか映りませんでした。

 「奉仕の心の形成」と「奉仕の実践」の論争は、個人奉仕と団体奉仕、さらに金銭的奉仕の是非にまで発展して、綱領から社会奉仕の項目を外すべしという極論まで飛び出すほどの激しい対立が続きました。エドガー・アレンとエリリアクラブに代表されるような、多額の金銭的支出を伴うクラブによる団体奉仕を、ロータリーの社会奉仕として認めるか否かが議論の中心になったのです。

 ロータリーの思考体系には、その原則を崩せばロータリー運動を成立さし得ない必要条件と、ロータリアンやクラブの考え方に対して、その立場と善意を尊重して、容認することができる充分条件があります。奉仕の実践は、まさにこの充分条件の中に入ることがらであり、従来からおこなわれているいろいろな社会奉仕の考え方や行動を、これを機会に整理して調和させることが是非とも必要でした。

 相異なる二つの考え方を、ロータリーの寛容の精神の下で調和させるために、当時の理事会は微妙に揺れ動きます。まず1922年、理事会はエリリア、トレード、クリーブラント各クラブより共同提案を受けて、これを奨励する決議22−17を決議しました。
「ロータリアンが身体障害児に対する関心を示し、且つ彼ら障害児に身体的矯正や外科的治療を施すことが有効な場合には、これを援助したいという意欲を表明していることに鑑み、国際ロータリー第13回大会は、各ロータリークラブがおこなっているかかる人道的活動を賞揚し、且つ本大会に出席している各代表者に対し、この問題に関する注意を喚起し、またこの運動が各クラブの地域社会における奉仕の機会を提供するものであることを、それぞれのクラブに認識させるように決議する」
しかし、この決議をおこなった直後に開催された理事会では、理論派の立場を考慮してか、これと全く相反する次のような決定をおこないました。

「国際ロータリーは世界各国の身体障害児問題が重要であることを認め、各ロータリークラブの会員がなんらかの形で身体障害児救済の事業に関係することを喜ぶであろう。しかし、国際ロータリーは気乗りしないロータリアンにこの種の事業に関係することを強制することは望ましくないと信じている。国際ロータリーはまた、ロータリークラブやロータリー会員が、身体障害児救済事業のような立派な仕事でも、これに全く夢中になったために、ロータリークラブの真の役割が忘却され、ロータリーの基本的で特色ある目的が見失われ、また忘れられるならば、それは望ましいことでもないし、またロータリー福祉のためにもならないと考えている」

 理事会決議はさらに三転四転し、1923年のセントルイス大会において決議23−8、「障害児並びにその救助活動に従事する国際的組織を支援せんとする障害児救済に関する方針採択の件」を、提案する姿勢を示します。これは積極的に身体障害児対策を推奨するとともに、その費用を援助するために、RI中央事務局が年間1ドルの特別人頭分担金を徴収することを定めたものであり、もしもこれが決議されれば、理論派の反論が強まって収拾がつかない状態になることが懸念されましたが、同時に決議委員会のウイル・メーニャによって提案された決議23−34の成立と引き替えに撤回されて、この論争に終止符が打たれることになるのです。

 決議23−8で障害児問題に積極的な実践派に、おおいに理解あるところを見せておきながら、巧妙に決議23−34とすり替えることによって、相反する議論を調和させた理事会の高等戦略といましょう。この時点において、もし決議23−34の成立がなかったら、ロータリーは理論派と実践派とに分裂し、今日のロータリーは存在しなかったに違いありません。

 決議23−34の原文には、「綱領に基づく諸活動に関するロータリーの原則」というサブタイトルが付けられ、ロータリー運動全般にわたって、奉仕の実践をめぐる、個人奉仕か団体奉仕かに対する長い論争に終止符を打つものであると同時に、RIとクラブとロータリアンの機能を明確化し、ロータリアンとクラブがおこなうロータリー諸活動に関する根源的な指針となるのです。

 セントルイス大会で決議された最初の決議23−34は、その後いくつかの項目について部分的に改正され、そのタイトルも「社会奉仕に関するロータリーの方針」と改正されて、現在の形になっています。

 採択された当初のタイトルが、「綱領に基づく諸活動に関するロータリーの原則」であったことからも分かるように、単に社会奉仕に関する指針として定められたものではなく、ロータリーの全ての活動に関する指針であったことに着目しなければなりません。

 ロータリーの奉仕活動を、クラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕に分ける四大奉仕が採用されたのは1927年であり、決議23−34が最初に採択された1923年には、未だ社会奉仕という分類は存在していませんでした。1926年のデンバー大会において、この決議のタイトルが「社会奉仕に関するロータリーの方針」と改正されて初めて社会奉仕Community Serviceという言葉が登場しますが、ここで使われているCommunity Serviceは「個人生活、職業生活、社会生活、全般にわたって奉仕の理想を適用する」と定義づけられており、現在われわれが使っている、狭義の社会奉仕よりはるかに広い範囲を指していることが分かります。

 ロータリーの奉仕概念をロータリー運動の実態に即して説明するとき、理論と実践に分けると理解がしやすくなります。理論はロータリー思想であるとともに、ロータリー哲学です。具体的にいうと、ロータリークラブという組織を介して学ぶ「奉仕の心の形成」であって、それは親睦につながります。これを欠くとロータリー運動は成立しません。実践は行動であり、ロータリアンが個人でおこなう「奉仕の実践」を意味するものです。

 ロータリー運動とは、「一業一会員」で選ばれた良質な職業人であるロータリアンが、毎週一回定例の会合に集い、例会を通じて「奉仕の心」を学び、その心を持ち帰って、ロータリアン個人の立場でそれぞれの家庭や地域社会や国際社会で「奉仕の実践」を移すことです。理論と実践は車の両輪のごとく、バランスをとって回らなければなりません。

 この考え方は本質的には正しいのですが、実践の主体がロータリアンであることは定義づけられていたとしても、ロータリークラブがおこなう「奉仕の実践」についての理論づけに欠けており、当時の論争の焦点はまさにその点にあったのです。

 決議23−34の特徴は、ロータリー運動全般を対象として、ロータリー哲学を定義し、ロータリークラブと国際ロータリーの機能分担を明らかにするとともに、「奉仕の実践」に関するロータリアンとロータリークラブと国際ロータリーの原則を明確に区分し、確定したことにあります。

《決議23−34》
(社会奉仕における1923年の声明)
ロータリーにおいて社会奉仕とは、ロータリアンの全てがその個人生活、事業生活、および社会生活に奉仕の理想を適用することを奨励、育成することである。
この奉仕の理想の適用を実行することについては、多くのクラブが会員による奉仕にその機会を与えるものとして、さまざまな社会奉仕活動を進めてきている。以下に掲げる諸原則は、ロータリアンおよびロータリークラブの指針として、また、社会奉仕活動に対するロータリーの方針を明確に表わすものとして適切であり、また管理に役立つものであることを認め、これを採用するものである。

(1)ロータリーは、基本的には、一つの人生哲学であり、それは利己的な欲求と義務およびこれに伴う他人のために奉仕したいという感情との間に常に存在する矛盾を和らげようとするものである。この哲学は奉仕−「超我の奉仕」−の哲学であり、「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」という実践倫理の原理に基づくものである。

(2)本来ロータリークラブは、事業および専門職務に携わる人の代表として、ロータリーの奉仕の哲学を受け入れ、次の四つのことを実行することを目指している人々の集まりである。第一に、奉仕の理論が職業および人生における成功と幸福の真の基礎であることを団体で学ぶこと。第二に、自分達の間においても、また地域社会に対しても、その実際例を団体で示すこと。第三に、各人が個人としてこの理論をそれぞれの職業および日常生活において実践に移すこと。第四に、個人として、また団体としても大いにこの教えを説き、その実例を示すことによって、ロータリアンだけでなく、ロータリアン以外の人々の全てが、理論的にも実践的にも、これを受け入れるように励ますことである。

(3)国際ロータリーは次の目的のために存在する団体である。
a)ロータリーの奉仕の理想の擁護、育成および全世界への普及;
b)ロータリークラブの設立、激励、援助および運営の管理;および
c)一種の情報交換所として、各クラブの問題を研究し、また、強制でなく有益な助言を与えることによって各クラブの運営方法の標準化を図り、社会奉仕活動についても、すでに広く多くのクラブによってその価値が実証されており、国際ロータリー定款に掲げられているロータリーの綱領の趣旨にかない、これを乱すような恐れのない社会奉仕活動によってのみ、その標準化を図ること。

(4)奉仕するものは行動しなければならない。したがって、ロータリーとは単なる心構えのことをいうのではなく、またロータリーの哲学も単に主観的なものであってはならず、それを客観的な行動に表わさなければならない。そして、ロータリアン個人もロータリークラブも、奉仕の理論を実践に移さなければならない。そこで、ロータリークラブの団体的行動は次のような条件の下におこなうように勧められている。いずれのロータリークラブも、毎年度、何か一つの主だった社会奉仕活動を−それもなるべく毎年度異なっていて、できればその会計年度内に完了できるようなものを、後援するようにすることが望ましい。この奉仕活動は、地域社会が本当に必要としているものに基づいたものであり、且つ、クラブ全員の一致した協力を必要とするものでなければならない。これは、クラブ会員の地域社会における個々の奉仕を奨励するためにクラブが継続的に実施しているプログラムとは別におこなわれるべきものとする。

(5)各ロータリークラブは、クラブとして関心があり、またその地域社会に適した社会奉仕活動を自主的に選ぶことについて絶対的な権利をもっている。しかし、いかなるクラブも、ロータリーの綱領を無視したり、ロータリークラブ結成の本来の目的を危うくするような社会奉仕活動をおこなってはならない。そして国際ロータリーは、一般的な奉仕活動を研究し、標準化し、推進し、これに関する有益な示唆を与えることはあっても、しかし、どんなクラブのどんな社会奉仕活動にせよ、それを命じたり禁じたりすることは絶対にしてはならないものとする。

(6)個々のロータリークラブの社会奉仕活動の選択を律する規定は別に設けられていないが、これに関する指針として以下の準則が推奨されている。:
a)ロータリーの会員の数には限りがあるので、ロータリークラブは、市民全体の積極的な支持なくしては成功しえないような広範囲な社会奉仕活動は、他に地域社会全体のために発言し、行動する適切な市民団体などの存在しない土地の場合に限り、これをおこなうこととすべきであり、商工会議所のある土地では、ロータリークラブはその仕事の邪魔をしたり、横取りをしたりすることのないようにしなければならない。しかし、ロータリアンとしては、奉仕を誓い、その理念の教えを受けた個人として、その土地の商工会議所の会員となって活躍すべきであり、また、その土地の市民として、他の善良な市民と一緒に、広く全ての社会奉仕活動に関与し、その能力の許す限り、金銭や仕事の上でその分を果たすべきである。
b)一般的にいって、ロータリークラブは、どんな立派な事業であっても、クラブがその遂行に対する責任の全部または一部を負う用意と意志のない限り、その後援をしてはならない。
c)ロータリークラブが奉仕活動を選ぶ場合に宣伝をその主たる目標としてはならないが、ロータリーの影響力を拡大する一つの方法として、クラブが立派に遂行した有益な事業については正しい広報がおこなわれるべきである。
d)ロータリークラブは、仕事の重複を避けるようにする必要があり、総じて、他に機関があり、それによってすでに立派におこなわれている事業に乗り出すようなことをしてはいけない。
e)ロータリークラブの奉仕活動は、なるべく既存の機関に協力する形でおこなうことが望ましいが、現存機関の設備や能力が目的の遂行に不十分である場合には、必要に応じ、新たに機関を設けることにしても差し支えない。
ロータリークラブとしては、新たに重複した機関を作るよりも、現存の機関を活用することのほうが望ましい。
f)ロータリークラブはその全ての活動において、宣伝者として優れた働きをし、多大の成功を収めている。ロータリークラブは地域社会に存在する問題を見つけ出すことはしても、それがその地域社全体の責任にかかわるものである場合には、単純にそれに手を下すようなことはしないで、他の人々にその解決の必要を悟らせる努力をし、地域社会全体にその責任を自覚させて、この仕事がロータリーだけの責任にならないで、本来その責任のある地域社会全体の仕事になるようにしている。また、ロータリーは、事業を始めたり、指導したりするが、一方、当然それに関心をもっていると考えられる他の全ての団体の協力を得るように努力すべきであり、そして、当然ロータリークラブに帰すべき功績であっても、それに対する自分のほうの力を最小限度に評価して、その全てを協力者の手柄にするようにしなければならない。
g)クラブがひと固まりとなって行動するだけで足りるような事業よりも、広く全てのロータリアンの個々の力を動員するもののほうがロータリーの精神によりかなっているといる。それは、ロータリークラブでの社会奉仕活動は、ロータリークラブの会員に奉仕の訓練を施すために考えられたいわば研究室の実験としてのみこれを見るべきであるからである。

 決議23−34をクラブによる団体活動を禁止した決議と受け取る人もいますが、それは間違です。奉仕の実践はロータリアン個人がおこなうことが原則ですが、クラブが会員の教育的効果を狙って実施する社会奉仕活動を制限するものではありません。この誤解を解き、ロータリークラブ、ロータリアンとともに奉仕活動に参加することを要請するために、RIは1941年に「奉仕活動への参加」を決議し、さらに1963年に「クラブと地区の社会活動への参加」を決議しています。

《クラブと地区の社会奉仕活動への参加》(1963年)
地域社会のニーズに対して、政府及び民間の諸団体が活動しているが、しかし、ロータリークラブやロータリアンが地元地域社会において効果的且つ重複しない奉仕を引き受ける各種やりがいのある機会が依然として存在する。効果的な社会奉仕をする基礎として、ロータリークラブ会長は、人間尊重、地域発展、環境保全、協同奉仕、の社会奉仕小委員会の委員を務めるロータリアンを任命するよう奨励されている。この小委員会は、次のことをおこなうよう要請されている。
1)地区内のそれぞれの地域の特定の相対的状況を総合的に調査、分析し、地域社会のニーズを確認する。
2)地域社会のニーズを見いだすために個人的、また職業上の立場を生かしてクラブの区域内を探り、社会奉仕委員会の調査、分析を補足、強化するよう個々のクラブ会員に勧める。
3)他の地域団体との会合を、所定の方針に合致しておこなうことができる場合、そのような会合を開き、話し合いと意見の交換をする。
4)地域社会のニーズに積極的に関心を示し、これに精通していることを会員候補者選考の一要素に含める。

 決議41−8によって現在有効な決議と認定されているのにもかかわらず、再三にわたって、決議23−34を撤廃ないしは改正しようとする提案が規定審議会に提出されています。さらに1984年版の手続要覧から決議23−34が削除されるという事態さえ起こりました。改正しようとする提案の多くは、社会奉仕における団体奉仕の枠を拡大しようとするものでしたが、激しい討論のすえ、1986年および1989年の規定審議会において、なんとか否決されて現在にいたっています。

 決議23−34は単に社会奉仕の枠組のみを定めた規約ではありません。すでに述べた通り、ロータリーの哲学、ロータリークラブと国際ロータリーとの定義とそれぞれの役割、奉仕の実践に関する詳細を定めた基本的なドキュメントなのです。ロータリーの哲学に基づいた奉仕の実践の基本姿勢の確認であり、この枠を無制限に拡大したり撤廃することは、単に社会奉仕のみならず、ロータリー運動そのものを揺るがすことになりかねないのです。

 多様化する社会的、国際的ニーズに対応するために、効率よく大規模プロジェクトを完遂しようとすれば、ロータリアン個々の自覚を促して、動きだすのを待つよりも、RIや地区やロータリークラブがイニシアティブをとって、集団的且つ金銭的に奉仕活動をするほうがてっとり早いかもしれません。しかし、それをあえて否定してきたところに、ロータリーが他の奉仕クラブと一線を画する特徴があるのです。

 1988年、RI理事会は決議23−34を残す代償として、厳しい条件付きながら、「地区とロータリークラブの他団体との協力」を決議し、ロータリーの理想と目的に合致すれば、クラブや地区が他の団体と共同で事業をしてもよいという決議をしました。地区をクラブと共に奉仕活動の実施母体に位置づけた、明らかに決議23−34に抵触するドキュメントです。

《地区とロータリークラブによる他団体との協力》
地区とロータリークラブは、次のことを定めたプロジェクトと活動において、他団体を支援し、他団体と協力することができる。
1)ロータリーの理想と目的に沿って着手すること。
2)関係クラブまたは地区内の会員がこの強力活動を承認していること。
3)活動の継続期間中クラブ会長またはガバナーの任命したロータリー委員会が直接協力し、責任を負うこと。毎年見直すこと。
4)独立した組織体としてのクラブまたは地区の自主性を保持すること。
5)ロータリーとその奉仕活動を一般の人々に知らせるために、協力という性格の範囲内で、クラブまたは地区が適切な形で認められること。
6)クラブまたは地区と協力団体とが合同プロジェクトの性格を一般の人々に伝達するという協同責任を負うこと。
7)クラブまたは地区は、合同プロジェクト参加にあたって継続的義務を引き受けないこと。
8)クラブまたは地区は、他団体への継続的財政義務を引き受けないで、地区内のロータリークラブに対して、地区大会その他の適切な手段により、このようなプロジェクトまたは活動への継続的支援を検討し、決定を下せるような機会を提供すること。
9)クラブまたは地区は、協力団体のメンバーとならないこと。
10)クラブと地区は、他団体にクラブ名簿またはロータリアン名簿を提供したり、他団体に資料を配布したりしないこと。ただし、ロータリープログラムのためになるような具体的目的(募金を含まない)のある場合を除く。

 1992年の規定審議会で、社会奉仕に関する新声明として決議92−286が採択されました。これは、決議23−34と共に使用されるというただし書きがついてはいるものの、個人奉仕と共にクラブの団体奉仕を推奨し、さらにRIが積極的に奉仕の実践例を提案することが明記されています。RIの権限を強め、ロータリー運動を徐々にではあるが、団体奉仕が可能な方向に軌道修正しつつあることが伺われます。

《社会奉仕に関する1992年の声明》
 1992年規定審議会は、社会奉仕に関する次の声明を採択した(国際大会決議23-24、以後改正されたものとともに使用されるべきものである)。

 ロータリーの社会奉仕とは、ロータリアン一人一人の個人生活、事業生活、社会生活に奉仕の理想を適用することである。
この奉仕の理想を実効するにあたっては、各ロータリークラブが多彩な社会奉仕活動を開発して、多くの会員による奉仕活動に輝かしい機会を与えてきた。ロータリアンの心構えとして、また、社会奉仕活動に関するロータリーの方針を明確にするために、その原則は次のようにまとめられる。
 社会奉仕は、ロータリアン一人一人が「超我の奉仕」を実証する機会である。地域に住む人々の生活の質を高め、公共のために奉仕することは、全てのロータリアン個人にとっても、またロータリークラブにとっても献身に値することであり、社会的責務でもある。
 この精神に立脚して、各クラブに対し次のように勧奨する。
1)地域社会における奉仕の機会を定期的に調査し、各クラブ会員と地域のニーズを検討させること。
2)社会奉仕プロジェクトを実施するにあたっては、会員の得意とする職業上の能力や趣味の力を活かすこと。
3)どのようにささやかであっても、あらゆる社会奉仕活動が重要であると認識した上で、地域のニーズを汲み、地域内のクラブの立場や力量を勘案してプロジェクトを始めること。
4)各種社会奉仕活動を秩序立てるために、ロータリークラブが提唱するインターアクトクラブ、ローターアクトクラブ、ロータリー村落共同隊、その他のグループと緊密に協力すること。
5)国際レベルのロータリープログラムと活動を通じて社会奉仕プロジェクトを強化する機会を確認すること。
6)社会奉仕プロジェクトの実行にあたっては、望ましく、また、実現可能な限り、必要とされる資金や人材の提供までも含めて、地域社会にも参加を求めること。
7)社会奉仕の目標を達成するために、RIの方針に沿って他団体と協力すること。
8)社会奉仕プロジェクトが一般社会の人々に十分認められるようすること。
9)社会奉仕活動において他の団体の協同参加を促進する触媒としての役割を果たすこと。
10)もしそれが適当であるならば、公共組織、奉仕団体、その他諸団体に、継続中のプロジェクトを委譲すること。そうすれば、ロータリークラブは新プロジェクトに携わることが可能となる。

 RIは、ロータリークラブの連合体として、社会奉仕のニーズや活動を伝え、広め、且つロータリーの綱領を推進し、参加を望むロータリアンやロータリークラブ、地区の力を結集すれば役立つと思われるプログラムやプロジェクトを適宜提案する責務を負っている。

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