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神戸大学医学部保健学科教授 高田哲先生



 ここ数年間の間にさまざまなメディアを通じて、注意欠陥/多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)の問題が取り上げられてきました。特にADHDに関しては、米国を中心とした臨床経験から、薬剤治療の効果が注目されてきています。しかし、「落ち着きがなく多動である」ということが、常に注意欠陥/多動性障害(ADHD)を意味するわけではありません。例えば、「落ち着きがなく多動である」状態を示す他の代表的な障害に自閉症があげられます。自閉症についても、最近では自閉症スペクトラムという幅広い捉え方がなされるようになってきています。

 従来、これらの疾患を取り扱う専門医療機関としては、児童精神科領域の先生達が中心となっていました。しかしながら、これらの発達障害が広く認知されるとともに、現在では、言葉の遅れや行動の異常を心配して小児科外来を受診される方が急速に増えています。また、これらの発達障害に対する早期からの対応の重要性も強調されるようになってきました。私自身は、発達を専門とする小児神経科医であり、大学病院で脳神経外来と発達神経外来を担当しています。今回は、ADHDを中心に話題を提供いたしたいと思います。

 まずはじめに、落ち着きのなさ、多動は本当に病的な症状なのでしょうか。それには子どもや家族がこの症状のために困っているのかが問題となります。子どもが困っていない場合は多動と考える必要はないでしょう。

 ADHDの特徴は、多動、衝動的、注意の持続が困難なことです。しかしADHD以外にも多動を示す疾患があります。それには、精神遅滞、学習障害、コミュニケーション障害、自閉症、アスペルガー障害などがあります。また器質的な疾患の場合があり、これらを鑑別していくことが重要となります。そしてADHDと診断した場合には、メチルフェニデートの薬剤が著効を示す場合があります。しかしこの薬剤も、チック症状や、てんかんを合併する場合や、精神遅滞がある患児には、使用することは出来ません。

 ADHD児を治療していく上で、ABC分析法と呼ばれるものがあります。これは、患児が望ましくない行動の間に何が起こったのか、誰がそこにいたのか、どこで起こったのか、いつ起こったのかや、望ましくない行動時に子どもが何をして、何を言ったか、その行動がどれくらいの頻度で起こるのか、その行動はどの程度深刻なのかを考え、そして望ましくない行動の後で、他の子どもへの要求や期待がどう変わったのか、子どもの集める注目度がそう変わったのか、子どもの目標や望みがかなえられたのかを分析します。そうすることによって、子どもの周囲の環境をどのように変えていけばいいのかを考え行動していくのです。

 ADHDの子どもは、友達を作るのが難しかったり、学習に障害があるケースが多くみられます。そのため、学校では個別にゆっくりと指導する必要があります。そして周囲の人たちへの病気の理解と、家族への心理的サポートが重要です。

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