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同業関係と共存共栄

 1915年サンフランシスコの国際大会で採択された「全分野の職業人を対象とするロータリー倫理訓」、「道徳律」とも呼ばれていますが、これは誠に素晴らしいものであります。これは11箇条ありますが、これを5箇条の日本語に書き改めた、昭和3年の「大連クラブのロータリー宣言」があります。また戦後、東京浅草クラブが、「玩具職業人についての職業倫理訓」を発表しています。一番新しいのは、仙台青葉クラブが平成7年6月28日に、「職業宣言」をクラブとして宣言しております。そういう形で、お互いに同業者が、為すべきこと、為すべからざることを誓い合う。そして職場に帰ったら、自由競争だけは一生懸命頑張ろうよ、フェアにやろうよ、というのがロータリーの職業奉仕の考え方であります。

 この同業関係、下請関係に共通して言えることは、お互いに共存共栄をいつも考えておかなければならないということであります。一例をあげてみます。小さなそして有名なお菓子屋さんで、午後3時頃になると商品が全部売り切れてなくなっているという店があります。作ればいくらでも売れるのでありますが、それ以上は作らない。自分の生産能力、管理能力の80%の商品しか作らない。100%,120%作ろうと思えば作れるけれども、一つでも質の悪い商品が出ると、自分の信用が傷つく。絶対に商品の質を落とさない。これは職業奉仕論の中核にある考え方であります。自分の納めた商品には徹底的に責任を持つ。これは昨年の職業奉仕セミナーで、売る前、売る時、売った後と三つに分けて、職業奉仕を説明いたしましたのでそれを参考にして下さい。

 これと反対の例があります。親会社からどんどん下請に注文がまいります。これは儲かるぞと、下請が銀行から融資をうけて、設備投資をして、需要に応えようとする。ある時期に親会社が、商品の注文をストップします。下請は融資の返済が出来なくなって、親会社に乗っ取られる。大資本が下請を乗っ取っていく有名な図式であります。これは大資本が悪いわけではない。下請が自分一人で儲けようとするからこのようになるのであります。自分の生産能力、管理能力の80%で留めておいて、それ以上注文がきたら、同業者に分けてあげるよう、注文を断っていれば、決して乗っ取られることはなかったと思うのであります。

 自分だけが儲けようとすると、力の強い者が勝ちます。これは、動物の本能の支配するジャングルの法則であります。自分だけが儲けようとして、賄賂を使ったり、いろいろな手段を講じることになると、下請、同業者から恨み辛みを買うことにもなります。共存共栄ということをいつも考えておかなければなりません。

 ロータリーが倫理運動として展開されるに至って、アメリカ経済社会に商工会議所が出来上がりました。そして、それまで有名無実であった商工会議所が、倫理を提唱する団体として蘇っていったのであります。それからロータリーが、倫理運動として展開されるに至って、アメリカ経済社会に同業組合が出来上がりました。食うか食われるかの対立の関係にあった同業関係を、同業組合を作ることによって、対立と協調ということを可能ならしめたのは、ロータリーの倫理運動の提唱がもとになってのことであります。

 今日の経済社会は、ずいぶん乱れています。賄賂の横行も目に余るものがあります。倫理の提唱を忘れた職業人がいかに多いことか。倫理を忘れた職業人は、歌を忘れたカナリアより始末が悪いものであります。カナリアが歌わなくなっても静かになるだけでありますが、倫理を忘れた職業人が増えてくると、国家を滅ぼし、果ては民族までも滅ぼしてしまいます。昨今の業界の乱れは、まさにロータリーの責任でもあります。倫理の提唱をおろそかにしてきたからであります。今後21世紀の扉を開くためには、職業奉仕に腹を据えて、倫理運動としてのロータリー運動を展開する以外に、この不況を脱却する道はないのではないかと思うのであります。


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