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未来のために
−個人倫理確立の運動−

 本日はロータリアンとしてどうしても知っていなければならないロータリーの素養に関する話を織り込みながら、職業奉仕の原理の世界を眺めてみたいと思います。
 まずロータリーを運動体の視点から見ますと、ロータリー運動と申しますものは、人類文化史が、この20世紀の時代に刻印を打った職業人のもっとも優れた倫理運動であります。これは慈善運動でも、寄付運動でもないのであります。この視点を見失いますと全くわからなくなります。
 これが倫理運動であるが故に、次第次第に力を蓄えてまいりまして、今日世界的な組織になっております。今全世界155カ国に28,284クラブあり。ロータリアンの数が、1,193,681名です。日本だけでも、2,218クラブ、190,952名であります(1997年2月号ロータリーの友より)。まさに巨大な組織になったわけですが、「ローマは一日にしてならず」と言います。ロータリーもまた一朝一夕にして成ったのではありません。
 20世紀に生きた私たちの先達が、幾多の試練に耐え、そしてさまざまな試行錯誤を重ねながら、原理開発をしてきた知恵の結晶が現在のロータリーです。したがって私どもはただ漫然とロータリーライフを過ごすこと、すなわち、例会に出て、食事をして、卓話を聞いて、さようならと帰っていく。最近ひどいのはご飯を食べて卓話の寸前に帰っていく。そのようなロータリーの生活を続けているということは、20世紀初頭に生きた先輩達に大変失礼なことになろうかと思います。
 実は今、このロータリー運動というものは、このように大変衰退しはじめております。その点を1996−97年度RI会長ルイス・ビセンテ・ジアイが心配して「未来を築こう」と言うテーマを掲げられました。
 その具体的な行動の指針のまず第1は、「先達の歩みに敬意を払うことによって未来を築こう」と呼びかけています。先達の歩みに敬意を払うためには、まず先達の歩みがそも何ぞやということを知らなければなりません。端的に言えば、歴史を学ぶことであります。
 それからもう一つ、「職業奉仕の質を高めることによって未来を築こう」とも呼びかけています。近年職業奉仕という言葉はあまり聞かれなくなりました。今から20年くらい前までは、「ロータリーのロータリーたるゆえんは職業奉仕の実践にあり」と言うことを耳にタコができるほど聞かされたものであります。ところが最近はそういう言葉をほとんど聞きません。
 もっとも人によっては職業奉仕よりも世界社会奉仕、あるいはロータリー財団の支援、あるいは弱者救済、そういうことの方がロータリーにとって大事だという人もおられます。それはその人が一生懸命勉強されて、一つのロータリー観を持った上で言ってるのですから、それはそれで結構です。私はそこのとをとやかく言う気持ちはありません。
 しかし私は、ロータリアンたる以上、職業奉仕を忘れたら、これは歌を忘れたカナリアと同じようなものでありまして、ロータリー運動の未来を築くためには大変な阻害要因になるのではないかと考えています。特に最近、バブル経済の崩壊後、経済が不況になってきました。加えて阪神・淡路大震災によって底知れぬ不況に陥っていく現在、この日本の経済の窮状を救うためには、ロータリー運動なくしてこれを成し遂げることはできないのであります。
 その意味でロータリアンに課せられた使命は大変大きいのです。職業人であるロータリアンが、職業倫理を提唱し、そして自由競争に敗れていった敗者の代弁者になって、経済の復興に力を尽くさなければなりません。その事例は、1929年から始まったアメリカ経済社会を襲った空前絶後のパニック、あのときロータリアンは一人も倒産しなかったのであります。しかし、ロータリアンだけが生き残ったというのであれば、エゴイズムの出発であった原始ロータリーと全く変わらない。それではロータリーの職業奉仕になりません。ロータリーの職業奉仕は、その原理を実践することによって、ロータリアンはすべからく自由競争の勝者にならなければならない。また必ず勝者になることができる。そして勝者になったら、今度は自由競争に敗れて倒産した敗者の代弁者になれ、と言うことを説いております。ではどのようにして代弁者になるのかということは各論の課題でありますから、後に申し上げまが、このようにしてアメリカのロータリアンが、あのパニック後に7年以上かかって経済の立て直しに尽力したという記録が残っています。その根底に流れる思考は、実は職業奉仕の原理であったのであります。

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