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異なる思想を排除しない

 ではロータリーの思想の世界がすべて自己犠牲の奉仕の思想になったかというと、そうではありません。一方には、Service above self実業倫理に基づく標語も同時に並存しています。そしてこれは、1923年のセントルイスの国際大会で採択されました34号決議の冒頭第1項に規定され、Service above selfの思想がその位置をみることになるのです。
 ロータリーの思想の世界には、「歴史の流れの何時の時点を切っても、さまざまな思想が混在しています。そしてお互いに自分の思想と異なる思想を一切排除しない。お互いに寛容の心をもって、自分と異なる考え方に謙虚に学ぶ姿勢を持つ」。これが実は1910年にポール・ハリスが「ロータリーは寛容の中に宿る」と大悟したことの内容です。
 彼は、ロータリーというものは合理的に考えればどのような考え方なのか、ということを論文に書きました。名付けて“National Rotarianism”。これを1911年1月26日に、チェスレー・ペリーがその論文を巻頭論文にして、ロータリーの機関誌“The National Rotarian”(現在の“The Rotariann”誌)を創刊したのです。そして後年ロータリーがこの1月26日を含む1週間を「雑誌週間」として記念して、20世紀初頭に生きた先達の心に思いを馳せてほしいということになっていたのです。
 ところが1983年から、この雑誌週間を廃止して、現在は4月が雑誌月間になっています。国際ロータリー事務局に「どういう理由で4月に変更になったのですか」と問い合わせますと、「特別な理由はない。単なる事務上の都合である」という返事がきました。大変残念なことと思います。私はいつも1月26日が来ると「雑誌週間」、処して翌日の1月27日はポール・ハリスの命日だと思い出していたのです。
 このようにロータリーにはいろいろな思想があります。ニュージーランドのオークランドクラブから出ましたハロルド・トーマス(1959−60年度RI会長)が「ロータリー・モザイク」という本を出しました。なぜモザイクという名前を付けたかというと、モザイクというのはガラスの破片です。黄色い破片、緑の破片、赤い破片、青い破片、いろいろなガラスの破片が集まって美しいモザイク模様を形作っています。それと同じように、ロータリーの思想の世界というのは、Service above self、service,not self、その他、いろいろなニュアンスを持った思想が沢山あります。そしてそれぞれの思想がお互いに排斥し合わないで、お互いがお互いに学び合う。さながら美しいモザイク模様のように、ロータリーの思想の世界を形作っている。そしてロータリーの90年の歴史のどの時点を切ってみても、ロータリーは一枚岩ではなく、いろいろな思想が混在しています。
 この美しいモザイク模様のようなロータリーの思想の世界、そういうものに万感の思いを込めて、「ロータリー・モザイク」という題名をその本に与えたわけであります。ロータリーは、90年の歳月を経まして、沢山の支流を集めて滔々と流れる大河の如く今日に至っている思想の潮流であります。この話は職業奉仕から少しはずれておりますが、ロータリーというものはいったいどのような世界なのかということをわかっていただくために紹介したものです。

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